めっきの種類
めっきは表面処理の一種であり、
めっきの中にもその方法によっていくつかの種類があります。
今回は、表面処理の中のめっきの位置付けとめっきの方法についてご紹介します。
表面処理にはどのような種類があるのか?
私たちの身の回りにあるものには、何らかの表面処理が使われています。
めっきはその主要な方法の一つです。下の動画及び図に、表面処理の種類と特性を大まかにまとめました。
めっきの一種である溶融めっきは、一般に「どぶ漬け」と呼ばれています。代表的なものは溶融亜鉛めっきで、大型の金属製品の防錆目的で使用されることが多く、コスト的にも安価な方法です。
めっきと同じく、物質の表面に金属皮膜を作る方法として、溶射があります。溶射は、高温で溶かした金属を物質に吹き付けることで金属皮膜を作ります。
また、金属以外のものも含めて表面を覆う処理では、塗装やラッピング、印刷などもあります。
さらに、表面を何かで覆うのではなく、表面を削ることで表面処理をする方法として研磨があります。
湿式めっきが他の表面処理に比べて優れている点は、あらゆる素材に数多くの機能的な性質を付与できることです。めっきの機能については、第3話でご紹介します。
また、皮膜の厚さを容易に制御することができるのも湿式めっきの特長です。
乾式めっきは厚膜が得にくく、溶融めっきは薄膜が得にくいのが欠点ですが、電解めっきの場合は電流密度と時間により、無電解めっきの場合は時間と温度により、皮膜の厚さを自由に調整することができます。
めっきにはどのような方法があるのか?
めっきには、様々な方法があります。どんな材料にめっきするのか、どこにめっきするのかなど、用途や求められる機能によって、めっきの方法は変わってくるのです。
めっきは、「湿式めっき(ウェットプロセス)」と「乾式めっき(ドライプロセス)」の2つに大別することができます。湿式めっきは、薬液(めっき液)を用いて金属皮膜を生成する方法で、乾式めっきは薬液を使わずに金属皮膜を生成する方法です。
湿式めっき(ウェットプロセス)とは…
金属成分を含んだめっき液にめっきしたい物を入れることで対象物の表面に金属皮膜を生成する方法です。
「電解(電気)めっき」と「無電解(化学)めっき」があります。
電解(電気)めっき
電気分解を利用してめっきする方法です。めっき液に電流を通すことによって、陽極より(あるいは液中の)金属イオンが陰極の対象物に移動し、金属の皮膜が生成されます。
無電解めっきに比べて、低コストで短時間にめっきできるのが特長です。
無電解(化学)めっき
化学反応を利用してめっきする方法で、置換めっきと自己触媒めっきがあります。
化学反応で発生した対象物表面の電子に金属イオンが移動し、金属の皮膜が生成されます。
複雑な形状の素材にも均一な皮膜を形成できるといった特長があります。
乾式めっき(ドライプロセス)とは…
めっき液を使用せずに、気化した金属で対象物の表面に金属皮膜を生成する方法です。「PVD(Physical Vapor Deposition:物理蒸着)」と「CVD(Chemical Vapor Deposition:化学蒸着)」があります。
PVD(物理蒸着)
真空中で金属を蒸発させて対象物に付着させる方法です。真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法があります。
CVD(化学蒸着)
金属の蒸気を含んだ気体の中に対象物を置いて加熱し、熱化学反応によって皮膜を生成する方法です。
今回は、表面処理の中のめっきの位置付けとめっきの方法についてご紹介しました。表面処理を検討する際には、それぞれの特長をよく理解した上で、最適な方法を選択する必要があります。次回以降では、湿式めっきが具体的にどのように使われているのかをご紹介します。