上村工業の研究開発体制

研究活動こそ、ウエムラの原動力。

中央研究所

「表面処理の総合メーカー」としての上村工業の技術力を支えているのが、
1968年に設立された中央研究所(大阪府枚方市)です。
高度な分析を可能にする分析装置、国内随一の専門資料などを揃え、
ケミカル・メカニクス・エレクトロニクスを一体化した表面処理技術の研究と開発を行っています。

上村工業では、技術者・機械設計者を合わせると、社員の半数近くが開発・技術支援業務に携わっています。それら多くの人が集い、新たな対話や自由な発想が生まれる空間を目指すことにより、新たな価値の創造や技術力の進化につながる研究所を目指しています。
自由な発想から生まれる開発力と技術力、高度な研究開発を可能にする実験設備、これらを集結した世界屈指の学術的研究機関としてめっき技術のさらなる発展に貢献するとともに、お客様に対してオンリーワンのサービスを提供いたします。

実験設備の紹介

通常のライン実験室に加えて、クリーンルーム内ライン実験室4室、サンプル液試作室2室、
お客様との共同実験室等、開発部ごとにゆとりある研究室を備えています。
また、最新のめっき装置のほか、
透過電子顕微鏡(TEM)・集束イオンビーム加工装置(FIB)-走査電子顕微鏡(SEM)複合機・走査型X線光電子分光分析装置(XPS)等をはじめとする
約250台の分析機器を保有しており、製品開発だけでなく、お客様の問題解決にも全力で取り組んでいます。

分析装置例

透過電子顕微鏡(TEM)

日本電子製 JEM-F200

微小領域における高分解能観察の代名詞的装置です。めっき膜の原子配列や付属のEDSで元素分析が可能となり、めっき膜や膜界面の状態がナノレベルで観察できるようになりました。

集束イオンビーム加工装置(FIB)
-走査電子顕微鏡(SEM)複合機

日立ハイテク製 XVision 210B

目覚ましい進歩を続けるFIBとFE-SEMを合体した世界最高水準の本装置により、筺体から試料を取り出すことなくSEM像の観察ができます。さらに、付属するEDSを用いてより詳細な元素分析も可能となりました。

走査型X線光電子分光分析装置(XPS)

アルバック・ファイ製 PHI Quantera Ⅱ

試料にX線を照射し、その表面から放出される光電子のエネルギーを測定することにより、表面の組成および化学結合状態の情報を得る装置です。顧客支援や新製品開発のために、この最高レベルの装置を用いて表面状態を解析しています。

環境共生型研究所

2013年に竣工した中央研究所の建屋は、環境に配慮した設計をコンセプトに取り入れ、
「CASBEE」(大阪府建築物環境配慮システム)において
最高ランクのS評価(平成23年度に大阪府へ建築物環境計画書を届出た
床面積5,000平方メートル超の建築物148件中2位)をいただきました。

主な環境配慮の取り組み

太陽光発電パネル

LEDを基調とした照明計画

屋上緑化庭園

南面及び西面のテクニカルバルコニーに設置したフィン付き日射遮蔽ガラススクリーン

トップライトと緑化プランター

メモリアルウォール(旧建屋の外壁を壁面緑化して保存し、近隣住民との緩衝帯として活用)

関連する主なSDGs

テクニカルレポート

『お客様のニーズを追求し、それにお応えする』と言うモットーのもと、
お客様のお役に立ちたいと言う思いから、1983年に創刊号を発刊して以来、
継続して表面処理に関する幅広い情報を提供しています。
2021年よりペーパーレスの一環として電子化を行いました。

関係会社 研究開発拠点

海外では、アメリカ・台湾・マレーシア・中国深圳・タイに研究開発拠点を構え、
各地に適合した製品開発を行っております。
これからも、日本の中央研究所を核としながら、
海外拠点を活用して地域に密着したグローバルな研究開発体制を推進してまいります。

アメリカ

ウエムラ・インターナショナル・コーポレーション テクニカルセンター

1998年、米国コネチカット州にテクニカルセンターを開設しました。ウエムラのグローバル・ブランドをサポートし、米国、カナダ、メキシコのOEMやお客様に初期設計段階のサポートと革新的な表面処理を提供することを使命としています。
ウエムラ・インターナショナル・コーポレーションでは、IPC、HDPug、NASFに対してガイダンスとリーダーシップを提供し、当社のプロセスをお客様固有の要件に合わせて調整する技術チームを積極的に活用しています。
これらの活動は、プリント回路、半導体、半導体パッケージ、医療診断機器など、あらゆる業界の大手メーカーから高い評価をいただいております。

台湾

台湾上村股份有限公司 研究所(TRL)

台湾研究所は2005年の設立以降、日本の中央研究所を補完するとともに、台湾のお客様のニーズに迅速に対応できるよう取り組んできました。台湾上村は、社内に薬品工場、機械工場、めっき加工工場を有しています。この環境を生かし、薬品単独の開発に留まらず、めっき設備や実際の生産を十分に考慮した開発を心掛けています。

マレーシア

ウエムラ・マレーシア

2005年に設立された研究開発部門は、ASEAN市場で需要の高い表面処理関連薬品の開発を行っています。
研究開発活動は着実に拡大しており、クロムめっき・無電解ニッケルめっき・その他のめっき技術など、幅広い分野に焦点を当てています。
技術革新と学識を深めるために地元の大学と技術提携を結んでいます。
また、上市した製品の性能を十分発揮させるために顧客中心の技術サービスも幅広く行っています。

中国・深圳

上村工業(深圳)有限公司

中国国内ユーザー様の要求に沿った製品改良や開発を行うことを目的として開始しました。2006年からは新工場開設に併せて深圳市坪山区に開発拠点を新設し、現在では中国特有の要求に対応するべく無電解プロセスを主に独自の製品開発を行っております。2021年には薬品だけでなく機械関係でも実機レベルの研究開発ができるよう、開発用のクリーンルームを新設し、最先端の半導体関連製品の開発にも注力しております。

タイ

サムハイテックス

自動車や家電関連のプラスチック部品の成型・塗装・めっき加工を目的として1987年に設立しました。装飾めっきをはじめ、プリント配線板のめっき加工も行っています。
現場からフィードバックされた情報をノウハウとして蓄積する体制を充実させ、さまざまな課題を解決するべくサポート体制の強化に繋げています。また、近年ではめっきシミュレーション解析を駆使して、複雑な形状へのめっきなど、めっき技術の可能性を拡げる試みにも積極的に取り組んでいます。