第8話:家電・時計・カメラetc.

「めっき」が使われているものは、身の回りにまだまだたくさんあります。第5話、6話でご紹介したスマートフォンやコンピューターとは違う「めっき」の一面を見ることができます。

身近な「めっき」とは?

まだまだある身の回りの「めっき」

部屋の中を見回してみると、「めっき」が使われているものがたくさんあります。まず目につくのはドアノブや家具の取っ手などの金属製品でしょう。そして、電気の力(チカラ)で動いているものには「めっき」の技術で作られた電子部品・基板がほとんどのものに利用されています。また、時計やカメラなどには「めっき」された精密機械部品が使われています。

それでは、身の回りに存在する「めっき」と関わりの深い具体的な製品について見てみましょう。

家電製品の「めっき」

意外なところにも「めっき」が活躍しています!

最近の家電製品はさまざまな部分で電子制御が行われています。当然、そこには電子部品やプリント基板が入っていますので、「めっき」が使われています。第6話の「コンピューター」で紹介したように、ブルーレイ・DVDレコーダーなどでは、録画データを保存するためにハードディスク(HDD)が使われています。家電製品と「めっき」のかかわりは、ますます深くなっています。

ずっと以前から使われている家電製品にも「めっき」が使われています。たとえば、アイロンでは衣類と接する「かけ面」 に「めっき」することで、滑りやすさ(潤滑性)を付加することができます。キッチンのなかに目を向けると、冷蔵庫や電子レンジの扉の「取っ手」部分、水回り製品にも「めっき」が多く利用されています。

時計と「めっき」

昔も今も、外側も内側も、「めっき」が活躍!

時計のなかでも肌に接する腕時計は、装飾や抗菌目的で外側に「めっき」が使われています。デジタル時計の場合、内部に電子部品や基板が使われ、当然ながら「めっき」の技術が利用されています。アナログ時計の場合でも、数多くの精密機械部品に「めっき」が利用されています。

精密機械部品に「めっき」が利用されるのは、錆びの防止、スムーズな動きのためのほかに、寸法精度のためにも行います。「めっき」はその処理時間により、金属膜の厚さを正確に計算することができるので、部品をより精密なサイズに調整することができるのです。

腕時計や懐中時計は、ファッションアイテムとしての側面もあります。装飾的な内容に関しては、後日詳しくお話しましょう。

カメラと「めっき」の関係

カメラと「めっき」の関係は、制御系での電子部品、機械系での精密部品、筐体(ボディ)などがあり、多種多様な場面で「めっき」が利用されています。ここでは、カメラでどのような「めっき」が使われているかを見てみましょう。

デジタル化で、「めっき」がますます活躍!

カメラは、ここ十数年でフィルムからデジタルへと大きな技術革新が進展しました。精密機械部品は、フィルム、デジタルのいずれでも使用され、一眼レフカメラの場合では「レフ(ミラー)」を動作させるための装置や、シャッター部分などで機械部品が使用されています。

デジタル一眼レフカメラでは、機械的な機構は変わらずにデータ処理用のMPUが搭載されており、小さなコンピューターさながらの処理を行っています。もちろん、ここにも「めっき」の技術が大活躍する電子部品が多数使用されています。

「めっき」はフィルム時代から利用されていましたが、デジタル化の進展で、その関係はより深くなったといえます。

光を反射させないための「黒めっき」

カメラの内部は、光が反射しないように黒色にします。この黒色には「めっき」が使用されることがあります。これを「黒めっき」と呼び、ニッケルやクロム、亜鉛など種類が多くあります。また、カメラのほかに望遠鏡や双眼鏡、光を扱う光学測定機器の部品などの内部にも使用されることがあります。

光の反射を防ぎ、高級感を生み出す「梨地処理」

高級機やプロ仕様のカメラは、本体色が黒色です。これは、撮影の際、カメラ本体の色が光を反射し、被写体などに写り込んでしまうことを避けるためです。そのために黒色で、さらにその表面を「梨地処理」しているカメラが多くあります。

梨地処理とは、通常の「めっき」とは異なり、表面にあえて微小な凹凸を作り、光の反射を防ぎ、また手触りの良さ生むための加工方法です。具体的には、電気めっきで、ある特定の添加剤を加えることで表面の梨地化が可能になります。

「めっき」モデル紹介(黒めっき編)

ここではカメラの内側などに使用される、黒めっきについて見てまいりましょう。

黒めっき<ニッケル、クロムなど>

無電解ニッケル-りんめっきの黒めっきは、通常の前処理・めっき処理を行った後に、黒色化処理を行います。
黒色化処理とは、「めっき」された表面を特殊な薬品を使用し黒く変色させる工程です。ただし、黒い染料などで色をつけているわけではありません。

そして、最後に熱処理により黒色の定着を行います。

アナログでもデジタルでも「めっき」の活躍は不変です!

時計やカメラに代表されるように、家庭内にある製品や機器は、デジタル化によって大きく変わりました。「めっき」は機械式では機械部品、デジタル式では電子部品に使われています。

時代を経て技術が進歩し、形態や様式が変わっても使い続けられる――「めっき」は、そんな技術として現在も進化を続けています。