1はじめに深圳を初めて訪れた人は町の発展ぶりに驚くと思います。高層ビルが林立し、幹線道路が縦横に走っています。深圳は広東省に位置し、香港に隣接しており、町の空気感は香港と中国の中間といった感じを受けます。深圳市の総面積は1,952km2で大阪府の面積1,905km2に近いですが、漁業中心のわずか3万人程度だった町が、1979年に経済特区に指定され、現在は推定人口1,200万人にもなります。外資系企業が数多く参入し、衣料、電気・電子部品の工場地帯が深圳およびその周辺に広がり、ハイテク企業のファーウェイ、テンセント、BYD、ZTE、DJIなどの本社が所在しています。至るところで建設中のビルを見かけ、いまだ建設ラッシュは止まらずといった感じです。いまや深圳周辺を取り巻くニュース(ファーウェイなどの米中貿易問題、香港の情勢)については、日本でも大いに取り上げられ、以前よりも皆さんが深圳という言葉を聞く機会が増えたのではないでしょうか?赴任して半年、実際に深圳に住んでみたうえでの生活を感じたままに綴ってみます。2交通深圳は公共の交通機関が充実しており、日本に比べて低料金になっているので、気楽に利用できます。バスやタクシーはBYD製の電気自動車が至るところで走っており、ガソリン車はあまり見かけません。もちろん自家用車も多く、主要幹線が時間帯によって慢性的な渋滞になるのが難点です。地下鉄は現在11号線まであり、深圳を東西南北に網羅して、こちらも手軽な交通手段になっています。既存路線の延伸に加え、新規の路線などが計画中になっており、今後さらに便利になると思われますが、皮肉にも日中問わず行われる工事が現在の交通渋滞の一因になっています。フェリーは香港、マカオ、珠海行きなどの航路があり、こちらも利用者が多くいます。また、飛行機は香港に比べて運行本数は少ないですが、深圳にも国際空港があり、例えば関空には現在1日2便運航されています。今後世界各国に路線を増やし、近辺の香港、広州並みの国際空港を目指すようです。ちなみに個人的に中国は自転車が多いのかと思ったのですが、もう昔の話のようです。海外風土事情9中国・深圳深圳有限公司黒坂成吾UYEMURATECHNICALREPORTSNo.79.202031
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